社会ネットワーク 第九章 ブロックモデル分析

  • ブロックモデル分析とは
    1. 対象となる与えられた社会ネットワークと、構造同値性を判別原理とする深層構造パターン(=ブロックモデル)の発見
    2. 複数の社会関係の見られるネットワークにおいて発見あるいは仮定されたパターン(=ブロックモデル)の集合の分析

   後者は前もって定義されているブロックモデルを分析するだけで、ここでは前者に焦点を当てる

  • ブロックモデル分析の理論と方法の構成要素
    1. 対象としての社会ネットワーク
    2. 対象と深層構造の関係
    3. ブロックの判別原理としての構造同値性
    4. 深層構造としてのブロックモデル
    5. ブロックモデル発見の具体的アルゴリズム
  • 対象となる社会ネットワークのここでの定義
    1. 有効グラフ
    2. 重みなし
    3. ループ、多重辺は認めない
  • 元のグラフとブロックモデルの関係を写像とみなす
    1. 構造同値基準によるブロックの同定
    2. ブロック内とブロック間の密度に基づくブロックモデルの同定

   を要点として特定されるとき、ブロックモデル分析の理論と呼ばれる

  • 構造同値
    • 有向多重グラフで、いかなるリンクR、ノードxをとっても、それらとuとv(あるノード)との関係が同じである場合、構造同値と呼ばれる
      • (例)二人の生徒が同じ先生と交流している場合、超大国に従属する2つの小国など
    • 任意の2人が第三者との関係を媒介にしてどのような位置関係をもっているかを示す
      • 直接の社会関係をもとに出来上がる役割の類似を意味するとも言える。ただし、階層的ネットワークの場合、階層ないし階級を示す
    • 批判として
      1. uとvの類似性は3人の関係で定まる
      2. これらだけではブロックモデルの同定はできないのではないか
  • 上で述べた批判に答えるために、構造同値性の概念の緩和をする
    1. 対称律を厳格には要求しない
    2. すべてのxに関して同値である必要はない
    3. リンクの重みを許容
  • ブロックモデルのパターンについての注意
    1. ブロックの数は2個とは限らない
    2. 関係の数だけモデルがある
  • CONCORのアルゴリズム
    1. グラフは行列で表される
      • uとvに結合がある場合は、行側のuから列側のvに実数が書き込まれる
    2. 行列のすべての2つの列の組の相関係数を算出
      • つまり、Rを通して、2点間の類似性を測定
    3. 相関行列を2次データとして、それのすべての列の組の相関を取り、新たに相関行列をとる
      • 相関係数が1、もしくは-1の近傍になるまで反復
    4. 収束した相関行列の列と行を適当に置換することで、1、-1の近傍の集合が2つ作られる
      • このクラスが点集合のブロックである
    5. 2個以上のブロックを求めたいなら、それぞれのブロックについて1以下を繰り返す
    6. 元のデータ行列の行、列を任意のクラス順に置換する
    7. ブロック内とブロック間の結合の情報から、それらの結合の密度を求める。これによってそれぞれの関係ごとに密度行列が得られる
      • これは、ブロックを点とし、点にも線にも重みをつけたグラフ
    8. 密度の適当な基準値を設定。たとえば、平均密度のt倍。この基準値より大きい密度は1、小さい密度は0に変換
      • こうして得られた有向単純グラフがブロックモデルである